最近、姿勢と歯並びの関係について注目が集まっているのをご存じですか？

一見、無関係のようにも思える姿勢と歯並びですが、実は密接に関わっているのです。

今回は、こどもの歯並びに姿勢がどのように影響するのかを解説しながら、日常生活で気をつけたいポイントをわかりやすくご紹介します。

■姿勢が悪いと歯並びにどんな影響があるの？

◎背中が丸まるとお口にも影響が

猫背のように背中が丸くなった姿勢が続くと、頭の位置が前方に出てしまい、バランスをとるために下顎が引っ込んだ状態になります。

この時、舌が本来あるべき位置から下がってしまい、歯や顎の成長に必要な舌の圧力が不足する原因になります。

◎口呼吸になることも

姿勢が悪くなることで、自然と口が開いた状態になりやすくなります。

この口呼吸の習慣が長く続くと、正常に顎が成長できなくなったり、唇を閉じる筋肉などが弱くなり、前歯が押し出されるようにずれてしまう（出っ歯など）傾向があります。

また、口が開いた状態では口が乾きやすく、唾液による自浄作用や再石炭化の働きが弱くなることでむし歯や歯周病のリスクも高くなります。

◎正しい飲み込みができなくなる

本来の正しい飲み込み動作は、舌を上顎に押し付け、口を閉じて行われます。

しかし、姿勢が悪く口呼吸が習慣化していると、舌を突き出して飲み込む癖がついてしまうことがあります。

このような飲み込み方は、出っ歯や開咬（かいこう）といった悪い歯並びの原因になることがあります。

■こんな姿勢に要注意！チェックリスト

◎日常生活で気になる姿勢をチェック

お子さまに次のような姿勢が見られる場合は、歯並びへの影響が出てくる可能性があります。

定期的に様子を見て、早めの対応を心がけましょう。

• 座っているとすぐに背中が丸くなる

• 足を床につけずに椅子に座っている

• 食事中に肘をつくことが多い

• 口をポカンと開けていることが多い

• 鼻ではなく口で呼吸している

• 飲み込むときに舌が前に出る

• 顎が左右どちらかにずれている

• 正面から見たとき、肩の高さが左右で違う

• よく頬杖をついている　など

これらはすべて、顎や歯の位置に少しずつ影響する姿勢や癖です。

放っておくと、知らず知らずのうちに歯列や噛み合わせがずれてしまうこともあるため、注意が必要です。

■家庭でできる予防

◎座り方や足の位置を見直す

姿勢の基本は座り方です。

椅子に座る時は、足裏が床にぴったりついて、背筋を自然に伸ばせる姿勢が理想です。

足が届かない場合は足台を使って調整するとよいでしょう。

◎遊びながら姿勢を意識させる工夫

「背筋を伸ばして！」と注意するだけでは、こどもはなかなか意識を変えられません。

バランスボールや姿勢矯正クッションなど、遊び感覚で取り組めるアイテムを使うのも効果的です。

また、運動習慣をつけることで、体幹や首まわりの筋肉が自然に育ち、良い姿勢を保ちやすくなります。

◎歯科医院での早めの相談が大切

姿勢や口呼吸など気になる点があれば、早めに歯科医院で相談しましょう。

こどもの歯並びは成長にともなって変化するため、早期発見・早期対応で歯並びの乱れの予防につながります。

必要に応じて、小児矯正や口腔筋機能療法を取り入れたアプローチも検討してみましょう。

【正しい姿勢は良い歯並びの土台になる】

歯並びの問題は歯だけの問題ではなく、姿勢や呼吸、生活習慣など全身のバランスと深く関係しています。

特に成長期のこどもにとって、正しい姿勢を保つことは、健やかな歯列の発達を支える重要な要素のひとつです。

お子さまの姿勢が気になる時は、ぜひ歯並びとの関係にも目を向けてみてください。

日常生活のちょっとした気づきが、より良い治療につながる第一歩になるかもしれません。