こどもの乳歯は大人の歯に比べてやわらかく、むし歯になりやすいことをご存じでしょうか。
乳歯のむし歯は進行が早く、気づいたときにはかなり悪化していたというケースも少なくありません。
見た目に小さな黒い点しかなくても、実はその奥で大きく進行していることもあるため注意が必要です。
この記事では、乳歯がむし歯になりやすい理由や進行の特徴、段階ごとの治療法について詳しく解説します。
お子さまの歯を守るためにも、早期発見・早期治療の重要性を知っておきましょう。
目次
■乳歯がむし歯になりやすい理由
◎エナメル質が薄く、酸に弱い
乳歯は永久歯と比べて歯の表面のエナメル質や、その内部の象牙質が薄く、むし歯菌が出す酸に弱い構造になっています。
そのため、むし歯ができると短期間で内部まで進行しやすい特徴があります。
◎歯みがきがうまくできない
小さなこどもは自分で歯をしっかり磨くのが難しく、磨き残しが多くなりがちです。
特に奥歯や歯と歯の間などは見えにくく、汚れが溜まりやすい場所です。
仕上げ磨きをしていても、細かい部分まで磨ききれないこともあり、知らないうちにむし歯ができていることがあります。
■むし歯の進行度と特徴
◎C0(初期むし歯)
歯の表面が白く濁った状態で、エナメル質の脱灰(溶けてしまうこと)が始まった段階です。
見た目ではわかりにくいことも多く、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。
◎C1(エナメル質のむし歯)
歯の表面に小さな黒い点が見られるなど、エナメル質が溶け始めた状態です。
痛みはまだありませんが、冷たいものがしみることがあります。
◎C2(象牙質まで進行したむし歯)
むし歯がエナメル質の下にある象牙質まで進行し、歯の内部が黒くなることがあります。
冷たいものや甘いものがしみる、噛んだときに痛みが出るといった症状が出ることがあります。
◎C3(神経まで達したむし歯)
むし歯が神経にまで達すると、ズキズキとした強い痛みを感じるようになります。
神経が炎症を起こしている状態であり、放置すると根の先に膿がたまることもあります。
治療では神経を取り除く根管治療が必要になり、こどもでも歯の神経を取らなければならない場合があります。
◎C4(歯冠崩壊)
歯の頭の部分がほとんど崩れ、歯根だけが残っている状態です。
神経が死んでしまっているため、痛みがなくなることもありますが、歯肉が腫れたり膿が出たりと、慢性的な炎症が続くことがあります。
■進行度別の治療法と注意点
◎初期段階でのフッ素塗布
C0~C1の段階であれば、定期的なフッ素塗布と歯磨き指導で進行を食い止められる可能性があります。
特に乳歯はフッ素の効果を受けやすいため、早期発見が非常に重要です。
◎進行したむし歯には適切な修復治療
C2以降になると、歯を削って詰め物や被せ物を入れる必要があります。
乳歯のむし歯治療では、むし歯の範囲やこどもの年齢、永久歯の生え変わり時期も考慮しながら治療方針が決められます。
◎神経を取った乳歯は管理が大切
神経を取った乳歯は弱くなりやすく、根っこの先に膿がたまると永久歯のトラブルの原因になることがあります。
そのため、治療後も定期的なチェックが欠かせません。
◎乳歯の抜歯は最後の手段
C4まで進行した場合、歯を残しておくことができない場合もあります。
早期に抜歯が必要になると、永久歯の歯並びや噛み合わせに影響する可能性もあるため、できる限り乳歯は残す方針で治療が進められます。
【早期発見と予防でこどもの歯を守ろう】
乳歯は永久歯に比べて弱く、むし歯になりやすく進行も早いため、日頃のケアと定期的な歯科検診が重要です。
むし歯は自然に治ることはなく、放置すれば進行してしまいます。乳歯だからといって軽く考えず、しっかりと予防と管理を行いましょう。