子どもの歯並びが悪い原因は遺伝のほかにも!日常の癖と顎の発育の関係|にしかわ歯科おとなこども歯科|名古屋市港区の歯医者

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子どもの歯並びが悪い原因は遺伝のほかにも!日常の癖と顎の発育の関係

子どもの歯並びが悪い原因は遺伝のほかにも!日常の癖と顎の発育の関係

目次

生え替わりの様子や口元の癖が気になるときに整理したい視点


子どもの歯並びが悪くなる原因は、遺伝だけでなく顎の発育や永久歯の生え方、口が開く習慣などが複数重なっている場合があります。本記事では、それぞれの要因がどう関わるのか、ご家庭での観察方法や歯科医院へ相談したいサインを整理します。保護者さまがご自身を責めたりお子さまに強く注意したりする前に、お子さまのペースに配慮しながら相談や記録を進めていく考え方をお伝えします。


この記事の要点まとめ


  • 歯ならびは、親から受けつぐあごの形や歯のサイズに、あごの育ち方や歯のはえかわり、口で息をするくせなどが重なって決まることがあります。
  • 家庭では食事や睡眠時のお口の様子を観察し、写真やメモで変化を記録すると相談時に役立ちます。
  • 気になる歯並びや鼻づまりは歯科・耳鼻科で相談でき、検査や経過観察を含めて方針を検討します。

子どもの歯並びが悪くなる原因は遺伝と成長・習慣の重なり


子どもの歯並びは、親から受け継ぐ骨格の特徴だけでなく、成長期の顎の発育や日常の習慣が重なって影響を受けます。「遺伝だから仕方ない」「軟らかい食べ物ばかりだったから」と、どちらか一方だけを原因と決めつける必要はありません。


遺伝で受け継がれやすいのは「骨格」や「歯の大きさ」の特徴


親から子どもへ受け継がれやすいのは、歯並びそのものではなく、顎の骨の形や大きさ、歯の大きさ・本数といった身体的な特徴です。下の歯が前に出る受け口や、上の前歯が前に傾く出っ歯などは、上下の顎の骨格バランスが影響しやすい傾向にあります。


一方で、歯が重なって生える叢生(そうせい:歯がガタガタに並ぶ状態)などは、顎と歯の大きさのバランスに加え、口周りの習慣も関わりやすい状態です。親と似た歯並びのように見えても、成長期の環境づくりや習慣の見直しで関われる余地は残されています。


顎の発育と永久歯の生える位置:下の前歯が内側から生えるのはなぜ?


6〜7歳頃に下の前歯が乳歯の内側(舌側)から顔を出すのは、生え替わり期によく見られる様子です。永久歯は乳歯より一回り大きいため、顎のスペースが足りないと内側や斜めに生えてくることがあります。


揺れている乳歯が抜けたあと、後ろから舌に押されて前へ並び直していくケースも少なくありません。ただし、並ぶための隙間が不足しているサインである場合もあるため、歯並びの見た目だけでなく、これから続く顎の成長とあわせて経過を見ていく視点が大切です。


鼻づまりによる口呼吸や舌の位置・動きが顎の成長に関わる可能性


お口がぽかんと開く口呼吸の子どもでは、顔の骨格の育ち方に違いがみられるとの報告があります 1。本来、安静時の舌は上顎の天井部分に軽く触れていますが、口で息をすると舌の位置が下がりやすくなります。


また、舌の裏側のすじ(舌小帯)が短く、舌が動かしにくい状態と歯並びの乱れとのかかわりは、まだはっきりした答えが出ていない部分もあります 2。口呼吸や舌の状態は、歯並びとかかわるかもしれないことのひとつとして考えておくとよいでしょう。


乳歯のむし歯・早期喪失や頬杖・指しゃぶりなどの癖も影響しうる


乳歯をむし歯やケガなどで予定より早くなくすと、そのあとに生える大人の歯で、歯並びや噛み合わせが乱れる割合が高くなると報告されています 3。一生自分の歯でおいしく食事をするためには、乳歯のころから悪くなる前の予防を続けることが土台になります。


そのほか、頬杖やうつぶせ寝、4〜5歳以降も続く指しゃぶり、舌で前歯を押す癖なども、続き方によっては歯や顎に一方向の力がかかる要因になりうると考えられています。ごく短い時間のものと毎日長く続くものとでは、影響の度合いが変わってきます。


ポイント

歯並びは骨格や歯の大きさという遺伝的な特徴に、生え替わりや呼吸・日常の癖が重なって形づくられます。ひとつの原因だけで決まるものではありません。


ご家庭で観察したいポイントと、癖を直そうとする前に知りたい誤解

ご家庭で観察したいポイントと、癖を直そうとする前に知りたい誤解

ご家庭では、すぐに癖を直そうと働きかけるよりも、まず「どんな場面でお口が開いているか」「どう噛んでいるか」を落ち着いて観察することから始めてみてください。良かれと思って行う声かけや食事の工夫が、かえってお子さまの負担になることもあるためです。


お口ぽかん・鼻づまりは「宿題中・食事中・寝ている時」に観察する


お口の様子は、お子さまが何かに集中しているときやリラックスしているときに現れやすくなります。ご家庭では次の3つの場面を中心に見てみましょう。


  • 宿題やテレビに集中している時:唇が自然に閉じているか、頬杖をついていないか
  • 食事をしている時:左右の片側ばかりで噛んでいないか、飲み込むときに舌が前歯の間から見えていないか
  • 寝ている時:口を開けて寝ていないか、いびきや鼻づまりの様子がないか

これらはお子さまを叱るためではなく、歯科医院や耳鼻いん喉科で普段の様子を伝えるためのメモとして控えておくと診察の手がかりになります。


正面と横顔の写真・歯の写真で、生え替わりの変化を記録しておく


生え替わり期の歯は少しずつ動くため、毎日見ていると変化に気づきにくいものです。2〜3か月おきに、スマートフォンでお顔の正面と横顔、可能であれば「イーッ」とした前歯の写真を撮っておくと、歯の位置の移り変わりを振り返りやすくなります。


撮影するときは、明るい場所で同じくらいの角度から撮るのがコツです。お子さまが口の中を見せるのを嫌がる日は無理をせず、笑顔の写真から記録を残すだけでも相談時の参考になります。


よくある誤解:「硬いものを食べさせれば顎が育つ」とは限らない


よく噛んで食べる習慣は口の周りの筋肉を動かすうえで役立ちますが、硬い食べ物ばかりを急に増やしても、それだけで顎が広がり歯並びが整うとは限りません。歯が並ぶスペースには、遺伝的な骨格や歯の大きさ、鼻の通りなども関わっているためです。


これまでの食事の選び方を振り返って保護者さまがご自身を責める必要はありません。食事の場では、足の裏が床や踏み台にしっかりつく椅子を選んで姿勢を安定させることや、前歯で噛み切る大きさに食材を整えるといった、今日から無理なくできる工夫を取り入れてみてください。


「口を閉じなさい」と繰り返し注意する前に考えたいこと


口が開いている姿を見ると、つい「口を閉じなさい」と声をかけたくなります。しかし、アレルギー性鼻炎や鼻づまりが背景にある場合、口を閉じると息が苦しくなるため、本人の意識だけでは続けにくいことがあります。


繰り返し注意されると、お子さまもストレスを感じてしまいます。頬杖や指しゃぶりも含め、ご家庭だけで直そうと抱え込まず、なぜその姿勢や呼吸になるのかを歯科医師と一緒に確かめながら進め方を考える方が、親子ともに無理なく続けられます。


子どもの歯並びで歯科・耳鼻科へ相談したいサインと受診の考え方


生え替わりの時期は、成長を見守れる状態と、早めに歯科医院で確認しておきたい状態があります。相談に行ったからといって、その場で矯正治療を始めなければならないわけではありません。


生え替わり期に様子を見やすい状態と、早めに相談したい状態の目安


生え替わりの段階によって、経過を見やすい場合と相談したい場合の目安は次のように分けられます。


お口の状態判断の目安理由・確認したい点
上の前歯の間にすき間がある経過を見やすい横の歯が生えるにつれて自然に閉じていくことが多い
下の永久歯が内側から生え、乳歯が揺れている経過を見やすい乳歯が抜けたあとに舌の力で前へ移動する場合がある
乳歯が全く揺れず、永久歯が大きく重なっている早めに相談したい自然に抜けにくく、歯みがきもしづらくなるため
上下の前歯が噛み合わない・下が前に出ている早めに相談したい骨格の成長バランスや舌・指の癖が関わることがある
上下の歯の真ん中が左右にずれている早めに相談したい片側噛みや顎の偏りが隠れている場合がある
乳歯をむし歯などで早く失った早めに相談したい奥歯が前に傾き、永久歯の隙間が減ることがある 3

上記の表に加え、サ行やタ行などの発音がしにくそうな様子が見られる場合も、歯並びや口の天井の形、舌の動きが関係していることがあるため、一度確認しておくと判断しやすくなります 4。


鼻づまりが続くなら耳鼻科と歯科の両方に様子を伝える


鼻づまりや口呼吸が気になるときは、鼻の通りの確認は耳鼻いん喉科、歯並びや噛み合わせ・顎の成長の確認は歯科医院と、それぞれの視点で診てもらうのが現実的です。


すでに耳鼻いん喉科へ通院している場合は、その経過や使っているお薬を歯科医院でもお伝えください。鼻の状態がわかると、お口ぽかんへの関わり方や経過観察の時期をより具体的に考えやすくなります。


相談=すぐ矯正ではない:検査と記録で成長を見守る選択肢


歯科医院へ相談することは、すぐに矯正装置をつけることと同じではありません。一般的な歯科医院の相談では、まずお悩みやご希望を伺います。その後、お口の検査やレントゲン撮影、お口の写真などの資料をもとに、現在の状態を説明します。


必要に応じて、光学スキャナー(小型カメラでお口の中を撮影して立体的に記録する機器)で記録することもあります。


そのときに装置を使うのか、数か月ごとに成長や生え替わりの記録をとりながら様子を見るのかを、納得したうえで選んでいく進め方が基本です。


子どもの矯正(第1期治療)は、多くの場合、保険がききません。ただし、生まれつきの一部の病気などでは保険が使えることがあります。治療では、取り外せる装置や歯につけたままの装置で、あごの育ちを助けたり、歯が並ぶすき間を整えたりします。


装置で歯を動かす期間は、1〜3年ほどかかるのが一般的です 5。実際の期間は、症状や一人ひとりの違いによって変わります 6。通院のペースや費用も、医療機関や装置により大きく異なります。


当院の費用は、診察のうえでご案内します。


装置を使うことで、痛みや違和感が出たり、むし歯や歯ぐきの炎症が起こりやすくなったりする場合があります。歯の根が短くなる(歯根吸収)ことや、治療後に歯が元の位置に戻る(後戻り)こともあります。


名古屋市港区の当院へ相談する際は、受診が苦手な気持ちもお聞かせください


以前の受診で泣いてしまった経験があると、「また嫌がるのではないか」「説明を落ち着いて聞けないのではないか」と足が重くなるものです。当院へご相談の際は、そうしたお子さまの気持ちもあわせてお聞かせください。


ご予約の際には、歯科医院が苦手なお子さまの様子や、まずお話と確認から始めたいというご希望を遠慮なくお伝えください。キッズルームや個室・半個室の空間、女性歯科医師への相談などを活用しながら、定期的な通院を通じてお口の健康を守る気持ちをやさしく育てていきましょう。お子さまが将来まで自分の歯で食事を楽しめるよう、私たちと一緒に予防と成長の見守りを頑張りましょう。


ポイント

歯並びの相談は、すぐ治療を始めるためだけでなく、検査や記録をもとに生え替わりを見守るためにも活用できます。受診への不安も事前に伝えてみてください。


よくある質問


Q. 子どもは歯の矯正をやらなくても大丈夫ですか?


A. すべての歯並びで矯正治療が必要になるわけではありません。生え替わりとともに自然に整っていくケースもあれば、噛み合わせやむし歯の予防、顎の成長の面から手助けした方がよいケースもあります。まずは歯科医院でお口の状態を確認し、経過観察でよいかどうかを相談してみてください。


Q. 頬杖をつくと顎が伸びたり歪んだりすることはありますか?


A. 成長期に毎日長い時間、同じ側ばかりで頬杖をついていると、顎の骨や歯列に片寄った力がかかり続け、噛み合わせのずれや顎の成長方向に影響する可能性があります。気づいたときは叱るのではなく、机と椅子の高さが合っているかを見直したり、別の姿勢へそっと促したりするのがおすすめです。


Q. 子どもが寝ている時に歯ぎしりをするのはなぜですか?


A. 子どもの睡眠中の歯ぎしりの原因は、まだはっきりしていない部分があります。子どもの歯ぎしりは、眠りの深さが切り替わる時期に起こりやすいという報告があります7 。成長とともに落ち着くこともありますが、歯のすり減りが強いときや痛みを訴えるときは、定期検診の際にお知らせください。


Q. 小学生がむし歯になりやすい歯はどこですか?前歯や奥歯の黒い点も関係ありますか?


A. 6歳ごろに乳歯の奥から生えてくる「第一大臼歯(6歳臼歯)」や、生えたばかりの大人の歯は、溝が深く表面もまだ弱いため、むし歯になりやすい歯です。前歯や奥歯に見える黒い点や黒っぽい色の変化は、はじめのむし歯のこともあれば、飲みものや食べものによる着色のこともあります。見た目だけでは見分けにくいため、歯並びの相談とあわせて確かめてもらいましょう。


参考文献


1. Zhao Z, Zheng L, Huang X et al. Effects of mouth breathing on facial skeletal development in children: a systematic review and meta-analysis. BMC Oral Health. 2021. PMID: 33691678 / DOI: 10.1186/s12903-021-01458-7

2. Póvoa-Santos L, Lacerda-Santos R, Alvarenga-Brant R et al. Ankyloglossia and malocclusion: A systematic review and meta-analysis. J Am Dent Assoc. 2024. PMID: 37999659 / DOI: 10.1016/j.adaj.2023.09.014

3. Shakti P, Singh A, Purohit BM et al. Effect of premature loss of primary teeth on prevalence of malocclusion in permanent dentition: A systematic review and meta-analysis. Int Orthod. 2023. PMID: 37832339 / DOI: 10.1016/j.ortho.2023.100816

4. 公益社団法人 日本歯科医師会「言語機能と構音障害 – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020」 https://www.jda.or.jp/park/relation/language_02.html

5. 矯正歯科 – 歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020. https://www.jda.or.jp/park/lifestage/BK/index08_02_2.html

6. 矯正歯科(矯正歯科、いびき歯ぎしり外来) – 岩手医科大学附属病院. https://www.hosp.iwate-med.ac.jp/clinics/d06/

7. 子どもの歯ぎしりが発生する眠りのしくみを解明 – ResOU. https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2021/20210705_1


西川 昌志

歯科医師


にしかわ歯科おとなこども歯科

院長

西川 昌志

▶ 監修者プロフィール

経歴
名古屋市生まれ
愛知学院大学歯学部卒業
西川歯科医院勤務
西川歯科医院 院長
資格・所属学会
床矯正研究会会員
国際歯周内科学研究会会員