フッ素が子どもの歯を守る3つの効果と年齢に合わせた適切な使用量|にしかわ歯科おとなこども歯科|名古屋市港区の歯医者

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フッ素が子どもの歯を守る3つの効果と年齢に合わせた適切な使用量

フッ素が子どもの歯を守る3つの効果と年齢に合わせた適切な使用量

目次

家庭でのフッ素ケアの基本と受診で相談したいポイント


フッ素(フッ化物)には、歯の表面をなおす働き・歯を酸にとけにくくする働き・むし歯菌が酸をつくるのをおさえる働きの3つがあります。歯が生えたころから、年齢に合った濃さと量で使うのがむし歯予防のきほんです。この記事では、2歳と6歳のきょうだいで同じように使える目安、飲み込んだときの対応、家でのケアと歯科医院での塗布のちがいをお伝えします。使う量や仕上げみがきに迷う保護者さまが、ご家族で同じ目安を持てるようまとめました。


この記事の要点まとめ


  • フッ化物には、とけかけた歯をもとにもどす働き(再石灰化)、歯を強くする働き、むし歯菌が酸をつくるのをおさえる働きがあります。
  • 歯みがき剤は年齢に合わせて濃さと量を選びます。2歳と6歳では、使う量や使ったあとの対応がちがいます。
  • 家での毎日のケアと、歯科医院での定期的な塗布を組み合わせましょう。使う量や飲み込みが気になるときは相談しましょう。

歯が生えたら始める予防とフッ素の3つの働き


「0歳は歯医者に通わなくてよい」と思われがちな時期こそ予防の始まり


当院では、歯が生え始める0歳からむし歯予防に取り組み、「生涯むし歯0」を目標として掲げています(この目標は当院の診療方針であり、結果を保証するものではありません)。生後6〜8か月ごろに生えてくる乳歯は表面がまだやわらかく、周りの大人との接触で菌がうつりやすい環境に置かれています。


特に3歳ごろまでに最初のむし歯ができると、その後もお口のトラブルに悩まされやすくなります。「歯科医院は痛くなってから行く場所」と考えるのではなく、歯が見え始めた段階からご家庭でのケアと定期的な管理を始めることが、将来のお口の健康を守る土台になります。


溶けかけた歯の表面をもとに戻す「再石灰化」を助ける


食事やおやつをとると、お口の中の細菌が糖分をエサにして酸を作り、歯の表面からカルシウムやリンといった成分が少しずつ溶け出します。この現象を「脱灰(だっかい:歯の成分が溶け出すこと)」と呼びます。


フッ化物には、唾液の力で溶け出した成分を歯の表面へ戻す「再石灰化(さいせっかいか:溶けかけた歯を修復する働き)」を後押しする作用があります1。まだ穴があく前のごく初期のむし歯であれば、この修復の働きを助けることで進行を抑える方向に働きます。おやつの時間を決めてお口の中が休まる時間をつくりながら、毎日のケアでフッ化物を取り入れることが大切です。


歯を酸に溶けにくくし、むし歯菌が酸をつくるのをおさえる


フッ化物が子どもの歯を守る働きは、修復の促進だけではありません。残る2つは、歯そのものを酸に負けない性質に近づける働きと、むし歯菌の勢いを弱める働きです1。


  • 歯をじょうぶにする:歯の表面をおおうエナメル質(歯のいちばん外がわのかたい層)にとりこまれ、酸にとけにくい結晶へとととのえます。
  • 酸をつくらせにくくする:むし歯菌に働きかけ、食べ物の糖分から酸がつくられるのをおさえます。

生えたばかりの乳歯や、6歳ごろに顔を出す永久歯は、まだ酸に対する抵抗力が十分ではありません。この時期にフッ化物を継続して作用させることで、むし歯になりにくいお口の環境づくりにつながります2。


「飲み込むなら使わない方がよい」は本当?心配すべきは量と濃度


ご家族から「うがいができず飲み込むなら、フッ素は使わない方がよいのでは」と心配の声が上がることがあります。しかし、日常の歯みがきで年齢に合った少量を使う範囲と、一度に大量に飲み込んだ場合の急性中毒は分けて考える必要があります。


フッ化物には利点がある一方で、使用量や体質などの個人差によっては以下のようなリスク・副作用が生じる可能性があります。


  • 急性中毒の症状:一度にたくさんのフッ化物を飲み込むと、胃が刺激されて、吐き気やもどす、おなかが痛い、おなかをくだすといった症状が出ることがあります。
  • 歯のフッ素症(斑状歯:はんじょうし):幼い子どもが、歯みがき剤など歯に使うフッ化物をとりすぎると、あとから生える永久歯に歯のフッ素症が出るおそれがあります3。歯の表面に白い斑点やすじが出るなどの変化がみられます。

一般的には、お子さまの年齢や発育に合わせて濃さと使う量を決め、乳歯から永久歯へと生え変わるまでの長い期間を見すえて使い方を考えます。避けるべきなのはフッ化物そのものではなく、年齢に合わない量や濃度での使用です3。


ポイント

フッ化物には「再石灰化の促進」「歯質の強化」「酸の産生抑制」の3つの働きがあり、年齢に応じた量と濃度を守って使うことがむし歯予防の土台になります。


年齢別の使用基準と、子どもに合わせて相談したいこと

年齢別の使用基準と、子どもに合わせて相談したいこと

2歳・6歳それぞれに合う濃度と使用量、使ったあとの対応


家庭用のフッ化物配合歯みがき剤は、お子さまの年齢やうがいができるかどうかに合わせて濃度と量を選びます。年齢ごとの使い分けの目安は、次のとおりです。


年齢の目安フッ化物濃度1回の使用量使用後の対応
歯が生えてから2歳ごろ子ども用の低めの濃さ米粒くらい吐き出させるか、ガーゼなどで軽く拭き取る
3〜5歳子ども用の低めの濃さグリーンピースくらい吐き出させ、少量の水で1回だけすすぐ
6歳以上大人用に近い高めの濃さ歯ブラシ全体少量の水で1回だけすすぐ

まだうがいができない0〜3歳ごろのお子さまには、泡立ちにくいフッ素ジェル(970ppmFなど)で歯みがきをし、使用後はそのままにするかティッシュやガーゼで拭き取る方法もあります。うがいができるようになったら、何度もブクブクとすすぐと成分が流れてしまうため、ごく少量の水で1回だけすすぐか、別に低濃度の洗口液で毎日うがいをする方法を取り入れます。


姉弟で同じ歯みがき剤を使える条件と、家族で決めておく基準


1500ppmの高濃度製品を、6歳のお姉ちゃんと2歳の弟さんで共用するのは控えます。6歳未満の子どもには、濃さの低い歯みがき剤を使うほうが歯のフッ素症のおそれを減らせると考えられているためです3。1本にまとめたい場合は、950〜1000ppm程度の子ども用製品を選び、歯ブラシに出す量だけを変える方法をとります。


ご夫婦やご家族で仕上げみがきを分担するご家庭では、誰が担当しても同じケアになるよう基準をそろえておくと迷いません。「どのチューブを使うか」「歯ブラシのどの位置まで出すか」「磨いたあとに拭き取るか1回すすぐか」の3点を洗面所にメモして共有しておくのがおすすめです。


普段の少量の飲み込みと、歯科や医療機関に相談したい状況の違い


毎日の仕上げみがきで年齢に合った量を守っていれば、うがいができずに少し飲み込んでも、急性中毒の心配は小さいとされています。当院では、体重20kgのお子さんなら、950ppm・60gの歯みがき粉のチューブを1.7本一気に飲まない限り中毒は起きないとお伝えしています。


一方で、お子さまが目を離したすきに、チューブから直接たくさんの歯みがき剤を食べてしまうことがあります。そのときや、飲み込んだあとに吐き気・嘔吐・おなかの痛みといった体調の変化が見られるときは、医療機関や中毒に関する相談窓口へ連絡してください。相談する際は、使った製品の名前、記載されているフッ化物濃度(ppm)、減っているおおよその量が分かると確認がスムーズに進みます。


発達や生活習慣によって目安どおりにいかないときは相談を


当院では、お子さま一人ひとりの特性や生活習慣に合わせて治療や予防の方法をご提案しています。年齢ごとの使用基準はあくまで目安であり、実際にはうがいや吐き出しの練習の進み具合、おやつの回数、お口に触れられることへの敏感さによって続けやすい方法は変わります。


当院の定期検診では、寝かせみがきの姿勢やおやつの回数、フロスの使い方も保護者さまと一緒に確認しています。できていないところを責めるのではなく、「次はこれをやってみよう」と一歩ずつお伝えしていますので、ご家庭のケアで迷う点は受診時にご相談ください。


フッ素塗布だけで終わらせず、家庭と通院で予防を続ける


家庭の歯みがき剤と歯科医院の塗布、それぞれの役割


むし歯予防では、「ご家庭で毎日使う低めの濃度のフッ化物」と「歯科医院で定期的に行う高めの濃度のフッ化物塗布」を組み合わせることが大切だと当院は考えています。どちらか一方だけで済ませるのではなく、日常の修復と定期的な歯質の強化を重ねていく考え方です。


当院では、歯科医院での定期検診に加えてご自宅でできるホームケアのアドバイスも行っており、仕上げみがきがうまくできないお悩みや歯みがき指導、フッ素塗布、歯がなかなか生えないといったご相談も承っています。一般的には、お子さまに合う歯みがき剤や洗口液の選び方に迷うとき、普段使っている製品を持参すると相談しやすくなります。


塗布の間隔や塗布後の過ごし方、費用は受診時に確認を


歯科医院でのフッ化物塗布は、かかりつけの歯科医院で3〜6か月ごとに受けるのが目安です4。当院ではフルオールやフローデンといった薬剤を使っています。塗ったあとやご家庭でジェルを使ったあとは、30分間はうがいや飲み食いをしないようお願いしています。


なお、一般的には、子どものむし歯の進行を抑えるためにサホライド(フッ化ジアンミン銀)という薬を塗る方法もあります。年齢が低い、歯科が苦手などの理由でむし歯の治療が難しいときに使われ、塗った部分は黒くなります5。むし歯を防ぐためのフッ化物塗布とは、目的がちがう塗り薬です。


予防のためのフッ化物塗布は、むし歯ができやすい状態や、ごく初期のむし歯を管理するときなど、保険が使える条件が決まっています。それとは別に、お住まいの自治体で費用の助けがある場合もあります。当院の費用は診察のうえでお伝えしますので、実際の費用や条件は受診のときにご確認ください。


歯みがきや受診を嫌がるときに相談しておきたいこと


当院では、治療や処置を始める前の説明と納得を大切にし、処置後もご家庭でのケアと院内でのメンテナンスを続けていく方針をとっています。3歳以下のお子さまは初めての場所で泣いてしまうのも自然なことですので、機嫌のよい午前中のご予約をおすすめし、年齢や理解度に合わせて器具を見たり触ったりしてから進める「Tell・Show・Do」のステップを心がけています。


恐怖心が強いお子さまには、小児用の笑気麻酔や天井モニターなどの設備も整えています。その日に院内での処置が難しいときは無理に行わず、「ご家庭での毎日のフッ素」「寝かせての仕上げみがき」「おやつの回数の見直し」の3つをお願いしています。お子さまが口を開けたがらない様子や、保護者さまご自身が歯科を苦手に感じているお気持ちも、ご予約や問診の際にお聞かせください。


ポイント

歯科医院での塗布は数か月に一度のサポートであり、毎日のご家庭でのケアと組み合わせて無理のないペースで続けることが大切です。


定期通院は「通う習慣」と「歯を大切にする気持ち」を育てる時間


当院では、お子さまの定期通院をむし歯の早期発見だけの場とは考えていません。将来にわたってお口をよい状態に保つための「通院する習慣」と、お子さま自身が「自分の歯を大切にする意識」をやさしく育てる機会だと捉えています。


当院は、広いキッズルームやベビーカーのまま移動できるバリアフリー設計を備え、ご家族で通いやすい環境づくりに努めています。フッ素を塗るだけで終わりにせず、ご家庭で続けにくいケアを一緒に整理しながら、一生自分の歯で美味しく食事ができる未来に向けて、私たちと一緒に予防に取り組んでいきましょう。


よくある質問


Q. 子どもの前歯や奥歯に黒っぽい点を見つけました。フッ素を塗れば治りますか?


A. フッ化物塗布やフッ化物配合歯みがき剤は、まだ穴があいていないごく初期の脱灰(白く濁った状態など)の修復を助けるもので、すでに黒く穴があいたむし歯を元の状態に戻すことはできません2。黒い点が着色汚れなのか進行したむし歯なのか、あるいは過去にむし歯の進行止め(サホライド)を塗った跡なのかは見た目だけでは判断が難しいため、歯科医院で状態を確認してもらうことをおすすめします6。


Q. 受診するとき、子どもが安心するようにお気に入りのぬいぐるみを持っていってもいいですか?


A. お子さまが落ち着いて診療室に入れるよう、お気に入りのぬいぐるみやタオルをお持ちいただいて構いません。まずは診療室の雰囲気に慣れ、器具を見たり触ったりして本人が納得してから進めることが、歯科への苦手意識を作らない助けになります。予約時や受付で、場所見知りや音への敏感さがあることも伝えておくとスムーズです。


Q. 子どもが歯みがき剤を飲み込んでしまいました。どうすればいいですか?


A. 普段の歯みがきで年齢に合った量(米粒大〜歯ブラシ全体)を使っていて少し飲み込んだ程度であれば、そのまま様子を見て差し支えありません3。もしチューブから直接大量に食べてしまった場合や、吐き気・腹痛などの症状が出ている場合は、製品のパッケージ(フッ化物濃度の表示)を手元に用意して、速やかに医療機関や中毒の相談窓口へご連絡ください。


Q. 歯科で聞くことがある「2年間ルール」とは何ですか?


A. 歯科医院によっては、自由診療で作製した詰め物や被せ物(セラミックなど)に対し、治療後に3〜6か月ごとの定期検診を受けることを条件として「2年間の保証制度」を設けている場合があります。子どものフッ化物塗布に関する決まりではなく、主に大人の自由診療におけるメンテナンスと保証の条件を指す言葉として使われます。


参考文献


当院では、荒川浩久 著『増補改定版 乳幼児から高齢者まで すべての患者さんへのフッ化物活用ガイド(高濃度フッ化物配合歯磨剤対応版)』(インターアクション)を参考にしています。年齢に合わせたフッ化物配合歯みがき剤の濃度や使用量は、この本をもとに保護者の方へお伝えしています。


1. フッ化物歯面塗布 | 生活習慣病などの情報(e-ヘルスネット) | 健康日本21アクション支援システム Webサイト. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-02-008.html

2. Marinho VC, Higgins JP, Sheiham A et al. Fluoride toothpastes for preventing dental caries in children and adolescents. The Cochrane database of systematic reviews. 2003. PMID: 12535435 / DOI: 10.1002/14651858.CD002278

3. Wong MCM, Zhang R, Luo BW et al. Topical fluoride as a cause of dental fluorosis in children. The Cochrane database of systematic reviews. 2024. PMID: 38899538 / DOI: 10.1002/14651858.CD007693.pub3

4. 歯と口の健康 予防で変わるあなたの未来~自分の歯で食べる幸せを~|春日井市公式ホームページ. https://www.city.kasugai.lg.jp/shisei/koho/kohokasugai/special/1039368/index.html

5. 日本小児歯科学会 | 3歳ごろから就学前まで. https://www.jspd.or.jp/question/until_school/

6. Worthington HV, Lewis SR, Glenny AM et al. Topical silver diamine fluoride (SDF) for preventing and managing dental caries in children and adults. The Cochrane database of systematic reviews. 2024. PMID: 39508296 / DOI: 10.1002/14651858.CD012718.pub2


西川 昌志

歯科医師


にしかわ歯科おとなこども歯科

院長

西川 昌志

▶ 監修者プロフィール

経歴
名古屋市生まれ
愛知学院大学歯学部卒業
西川歯科医院勤務
西川歯科医院 院長
資格・所属学会
床矯正研究会会員
国際歯周内科学研究会会員