矯正治療は費用が高額になることが多く、医療費控除が適用されるかどうかは大きな関心事かもしれません。
この記事では、子どもの矯正治療が医療費控除の対象になるかについて詳しく解説していきます。
目次
■医療費控除を受けられる条件
◎1年間の医療費が所得の5%以上
医療費控除は、1年間の所得に基づいて計算される税制優遇措置です。
1つ目の条件として「1年間にかかった医療費が総所得の5%を超えること」があります。
つまり、その年に支払った医療費の合計が所得の5%を超える場合、医療費控除の対象となります。子どもの矯正治療は一般的に高額になることが多く、この条件を満たす可能性が高いです。
◎1年間の医療費が10万円以上
2つ目の条件は「1年間にかかった医療費が10万円以上であること」です。
たとえ総所得の5%に届かない場合でも、年間の医療費が10万円を超えれば医療費控除を受けることができます。
この2つの条件のうち、どちらか1つを満たせば医療費控除が適用される可能性があるため、矯正治療にかかった費用は注意して確認しましょう。
■医療費控除の計算方法
◎計算式
医療費控除の金額は、以下の計算式に基づいて算出されます。
計算式:
(その年にかかった医療費の総額)-(保険金などで補填される金額)-(10万円または総所得の5%のうち少ない方)= 医療費控除額(最大200万円)
まず、1年間に支払った医療費から、保険金などで補填された額を引きます。そして、残った金額から「10万円」か「総所得の5%」の少ない方の金額をさらに引いたものが医療費控除額になります。この額に応じて、実際の控除額が決まります。
■所得税率と控除額
◎税率表
所得税率は所得額に応じて異なります。以下の表に基づき、医療費控除の適用後にどの程度の控除が受けられるかを計算することができます。
上記の計算式で対象額を算出した後、所得に応じた税率をかける必要があります。
所得合計額 (課税される所得額) |
所得税率 |
控除額 (所得から差し引かれる控除額) |
195万円未満 |
5% |
0円 |
195万円超330万円未満 |
10% |
97,500円 |
330万円超695万円未満 |
20% |
427,500円 |
695万円超900万円未満 |
23% |
636,000円 |
900万円超1,800万円未満 |
33% |
1,536,000円 |
1,800万円超4,000万円未満 |
40% |
2,796,000円 |
4,000万円超 |
45% |
4,796,000円 |
たとえば、年収400万円の世帯が30万円の矯正治療を受けた場合の計算式は以下のようになります。まず、保険金などで補填される金額がなければ、30万円から10万円を差し引いた20万円が控除額となります。
この控除額に所得に応じた20%を掛けた金額、4万円が、医療費控除を受けられる金額です。
■子どもと医療費控除
◎矯正治療の医療費控除は主に子どもが対象
子どもの矯正治療は、単に審美的な理由ではなく、健康的な成長や機能改善を目的として行われることが多いため、医療費控除の対象となることが一般的です。
具体的には、歯並びや噛み合わせの改善が、将来的な健康リスクを軽減するために必要と判断される場合、控除を受けることができます。
これに対して、大人の矯正治療は、見た目を改善するための審美目的とされることもあり、控除の対象外になるケースがあります。
医療費控除を利用することで、子どもの健康をサポートしながら、経済的な負担も軽減できます。
【子どもの矯正は医療保控除の対象となることが多い】
医療費控除は、高額な医療費を支払った場合に適用される重要な税制優遇措置です。特に、子どもの矯正治療は、成長と機能改善を目的とした治療として、控除の対象となることが多いです。医療費が一定額を超えた場合には、控除の手続きを行い、家計への負担を軽減することができますので、ぜひご活用ください。